What's wrong super sweet?

独断と偏見しかない少女マンガレビューっぽいやつ

亜南くじら「なのに、千輝くんが甘すぎる。」

千輝くんがこの世の女子全員の相手役だったらいいのに。

なのに、千輝くんが甘すぎる。(1)

なのに、千輝くんが甘すぎる。(1)

  • 作者:亜南 くじら
  • 出版社:講談社
  • 発売日: 2018年01月12日

「無理して探すくらいなら 俺に片思いすれば?」

「好きな男 アイツじゃなくて 俺だろ?」

千輝くん、甘すぎます。 乾いた心に効きすぎます。

  
王道の「女の子に困っていないモテモテ男子が普通の女の子に恋をする」話。
「振り向いてもらいたくて、ひたすら頑張る女の子」の話に比べて
現実味がなくてファンタジーです。
 
千輝くんは他の女の子には塩対応だけれど、主人公に対しては
世界で一番優しい男の子。
読者側からも「…いやそれはどうだろうか?」と思う真綾の
「片思いの素晴らしさ論」を黙って聞いて、肯定もしないけれど
否定もしない。
それどころか、その「真綾のひたすら自己満足な片思い論」にのっての
「片思いごっこ」をしようと提案する。
 

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@公式Twitterより
 
千輝くんを好きにならない。
だって、片思いごっこだもの。
この世界一幸せ者のヒロインはそう決心して、「片思いごっこ」という名の
「千輝くんとの甘い両思い生活」を始める。
 
千輝くんは本当に甘すぎます。
こんな男の子が世界中の女の子ひとりひとりの恋人だったら
戦争も核実験も起こらないだろうし全員が幸せになれるだろうし。
女の子ひとりにひとり、千輝くんが欲しい状態です。
 
今一番欲しい言葉をくれる人がいるって幸せなこと。
失恋した時に泣いてもしゃくりあげても、黙って見守ってくれる人がいるって
どれだけ心強いだろう。
何に対しても自信がない時に「大丈夫だよ」の言葉をかけてくれるだけでいい。
自分を否定する人間から守ってくれる人がいたら何もいらない。
 
千輝くんは魔法使いなのかな。
なんで、ほしいものがわかるんだろう。
なんで、私をそんなに甘やかすんだろう。
 
結構わたし意味不明なこと言ってるよ、あなたを傷つけているよ。
「なのに、千輝くんが甘すぎる。」
 
世界でひとり、自分に味方がいてくれたら。
それが私に世界一甘い、千輝くんだったら。
 
真綾の片思いごっこはまだ本当の恋を知らない、
自分の理解者を見つけるための甘い現実。
 

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 @公式Twitterより

 

如月真綾、16歳。人生初の告白は見事に玉砕…。

「もう絶対、告白なんかしない」と誓ったばかりのある日、

図書当番が一緒で学校一モテる千輝(ちぎら)くんに、失恋の傷を癒やすために

「片想いごっこをしよう」と提案される!

毎日、あまーい千輝くんに癒やされて、もっと近づきたいと思い始める真綾…。

でも、これは“片想いこっご”をしているだけ。

絶対に千輝くんのことを好きになっちゃいけないのに―――!!?

 

 

朱神宝「コーヒー&バニラ」

コーヒー&バニラというより、お砂糖のかたまり。 

 

深見さんはさして深くない。

容姿端麗、頭脳明晰、優しくて紳士。

…と、リサは信じているけれど深見さんは大人げない。

優しいのはリサにだけ。

スマートにリサを助けたけれど、「チャンスがあれば」とリサ目当てにカフェ通い。

リサの同級生の吉木に大人げなく嫉妬し、

リサを自分のことしか考えられなくすることが得意。

インターンでは自分の目の届くところにリサを置いて安心したいし、

自分が遠くにいる時は吉木に見張らせて、でもリサを最後に守るのは自分。

とにかくエロい。うまい。溺愛。

 

深見さんは全然大人じゃないし、かっこよくもない。

自分の欲しいものは必ず手に入れる、欲望も野心も人一倍。

リサを失うのをすごく怖がっている、子供のような人だ。

リサがいなくなった時、自分も終わると思ってる。

 

リサはそんな深見さんがたまらなく愛しくて、かわいくて、誰にもとられたくなくて。

 

大人のシンデレラストーリーに見えるけど 

とっても単純で、だけど誰よりもお互いを想いあってる

ピュアな子どものような大人と、母のような女の子。

 

「リサは、癒し」

 

「コーヒー&バニラ」は、「ハイスペック男子との恋を夢見る女の子」だけの

マンガではない。

「ただ愛されることを望む、頑張る大人女子」の癒しマンガである。

 

「リサは、癒し」とうっとりとした目で惜しげもなくフェロモンをふりまきながら

つぶやく深見さん。

「深見さん、リサにもっとハマって世界の頑張っている大人女子を癒して」。

 

深見さんのリサへの天井知らずの溺愛が、明日の日本を救う。

 

女の子の想いは「想いあう」だけでなんとでもなるんだ。

「ただ愛される」ことを望んでいるだけなんだ。

 

 


コーヒー&バニラ(既刊8巻、以下続刊)

小学館 朱神宝